組織学 ー 筋
収縮を目的に分化した筋細胞と、周囲の組織に収縮を伝える細胞外成分との働きによって、動物は移動、収縮、括約、心拍動など様々な運動を行っている。
筋組織の分類
- 平滑筋 smooth muscle:不随意筋
- 横紋筋 striated muscle
- 骨格筋 skeletal muscle:随意筋
- 心筋 cardiac muscle:不随意筋
骨格筋、および、心筋の模式図の違い
- T細管 T tubele(横細管 transverse)
T細管は細胞膜が落ち込んで出来た細長い管状構造物で、筋細線維の間に入り込んでいる。
- 骨格筋
ほ乳類の骨格筋では、T細管はA帯とI帯の協会で筋線維内を横走する。
T細管に接して、カルシウムイオンを貯蔵する筋小胞体がある。筋小胞体は筋細線維を取り巻く網状構造をしているが、A帯とI帯境界部では、拡張して終末槽を作っている。2つの終末槽は1本のT細管を挟んで位置するため、この構造は三つ組 triadと呼ばれる。
- 心筋
心筋の筋小胞体は終末槽を形成せず、骨格筋ほど発達していない。しかし、筋小胞体の小さな終末部がT細管に近接している。これらの構造は骨格筋のように三つ組を形成せず、T細管と一側の筋小胞体が接して二つ組 dyadを作っている。
組織学 ー 上皮組織
人体にはおよそ200種類の細胞が存在する。同じような構造と機能をもった細胞の集まりと細胞間質を併せて、組織 tissueという。
組織は、基本的には、
- 上皮組織 epithelial tissue:体表を覆ったり、体腔の内面を覆ったり、腺を形成する。
- 結合組織 connective tissue:他の3つの基本的組織を構造的、機能的に支える。
- 筋組織 muscle tissue:収縮細胞からなり、運動を司る。
- 神経組織 nervous tissue:体外や体内での情報の受容、伝達、統合にあたり、体の活動を制御する。
の4種類に分けられる。
上皮組織 epithelial tissue
働き
- 下層にある組織の保護
- 物質輸送
- 粘液、ホルモン、酸素などの分泌
- 吸収
- 上皮を通しての選択的透過
- 感覚
定義
上表面を覆う組織。上皮組織は細胞が密に集まっていて、血管が侵入しない。バリヤーの役目をしている。
単語
- 腺上皮 glandular epithelium:腺細胞よりなる上皮
- 杯細胞 goblet cell:消化管や気道の円柱上皮に散在する。ムチンというムコ多糖類を分泌。
- 上皮外腺 exoepithelial gland:発生学的に上皮から生じ、上皮の外部、結合組織の中に陥入してできる。
上皮 epithelium
分類
- 扁平 squamous
- 立方 cuboidal
- 円柱 columnar
- 単層上皮 simple epithelium
- 重層上皮 stratified epithelium
- 多列上皮
- 移行上皮
表面上皮細胞
微絨毛 microvilli
上皮細胞の自由表面側に見られる小さい指状の細胞質突起である。
細胞膜により形成された細かな突起。吸収面積を増大させる。
繊毛 cilia
運動する細かな突起。起動上皮、卵管などに存在する。各繊毛の根部には、それぞれ基底小体が見られる。
閉鎖帯 tight junction/密着帯 zonula occludens
上皮細胞間の接着複合体の最も頂上領域よりに位置する。オクルージン occludin、クロージン claudinにより形成され、拡散関門として働く。
接着帯 zonula adherens
密着帯のすぐ基底側に位置する接着装置。カドヘリン cadherinやアクチンなどと結合する。
ギャップ結合 gap junction(ネクサス)
密着結合や接着結合は接着機能が主であるが、ギャップ結合は細胞間の情報伝達に関わっている。イオンや種々の小分子が細胞から細胞へと伝達される。